2023.11.28

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残業が好ましくないとされる科学的根拠

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今、X(旧Twitter)などSNSでは特に、「残業イコール悪」のように扱われている場面が多いと思いますが、なぜ残業がよくないとされるのか、合理的、科学的な話があまり見られないと思うので、今回は科学的な観点で、労働時間について検証してみたいと思います。

目次

スタンフォード大学の研究結果

まず結論を先に言えば、週50時間の労働がベストという調査結果があります(参照:Entrepreneur

The study found that productivity per hour declines sharply when the workweek exceeds 50 hours, and productivity drops off so much after 55 hours that there’s no point in working any more. That’s right, people who work as much as 70 hours (or more) per week actually get the same amount done as people who work 55 hours.

英文なので、そのまま翻訳ツールで翻訳すると、要点として次のように紹介されています。

週労働時間が50時間を超えると時間当たりの生産性が急激に低下し、55時間を超えると生産性が大幅に低下するため、これ以上働く意味がなくなることが判明した。

残業するなではなく、過度な残業が非効率

よくSNSで見る、日本の企業は残業が当たり前で海外は…のような論調ですが、そもそもスタンフォード大学の研究結果でも残業そのものは否定されておらず、50時間まではパフォーマンスが発揮できると調査されているのですよね。

つまり、1日8時間の週5で計算すれば、1日あたり2時間程度は科学的には問題ないとされています。
日本国内では、厚生労働省の残業上限時間で、45時間が1つ基準とされていますので、1日1~2時間程度の残業となりますが、科学的に仕事上の結果もだせる範囲に設定されているわけです。

ちなみに過労死のラインとされているのが、月80時間残業。仮に週5だと1か月で、21~22日ほどになると思いますので1日3.5~4時間ほどの残業時間ですね。

スタンフォード大学の研究結果では「週に70時間 (またはそれ以上) 働く人は、実際には 55 時間働く人と同じ量の成果」と発表されています。
70時間だと1日平均14時間労働なので、8時間をベースにすれば1日6時間残業。毎日終電ペースなので、確かに健康上よくなさそうですが、そもそもそこまで頑張っても結果がでていないですよという話なのです。

無駄な長時間労働は辞める

まだ少なくない企業で、「残業イコール頑張っている証」と捉える文化が実態としてあるのは否定できないところだと思います。
ただ本当に1分1秒、休む時間もないというよりは次のようなこと、思い当たるフシはありませんか?

  • 社員とのMTGばかりで無駄に時間を過ごしている管理職の方
  • 終業後に喫煙タイムを取って、ワザと遅くからMTG開始
  • 午前中は離席も多く、午後から本気だす方
  • 必要性のない報告書作成
  • 無駄な朝礼、夕礼(合計で1時間近く取っているケース等)

私、世代的にはいわゆる団塊ジュニア世代で、かつ体育会系あがりなのですが、20代の新入社員の頃から無駄な残業を拒否していた人間で、今もネクストソリューションズでは基本が10時から19時(1時間休憩)になりますが、大体19時半には退勤。

遅くても20時には退勤します。ネクストソリューションズジョイン前にいた、同じWEB系の会社でマーケチームのリーダーをしていた頃も、同様にチームメンバーと「残業時間は評価対象にしない」をルールを作り、基本残業は行わないチームを運営していました。

私は元、クリエイターでもあるので、締め切り前等、本当に帰れない…そんな日は実際に存在し、経験していますが「評価されるために遅く帰ろう」という風潮は、科学的に見てもパフォーマンスを下げているだけということは特に管理職の方は知っておくべきではないでしょうか?

ジタハラにも注意を

しかし一方で残業をしたいと思っている社員がいるのもまた事実(人事ポータルサイト【HRpro】コラム参照)。

残業代が欲しいので、ダラダラと業務を行うスタッフがいるのもこれは実態としてあるでしょう。

私も口には出さないものの「この人は残業がしたいんだな」と感じた方は、過去に何人も見ています。

それらの線引きは難しいのですが、正当に仕事を進めているが、業務内容が多くて本当に追われない…にも関わらず、会社から「帰れ帰れ」と急かされることがハラスメント(時間短縮ハラスメント)だと感じる方もいるのは事実。

私は過去に働いていた会社で、チームメンバーに正直ベースで残業したいかを確認して、リーダーとしてギリギリ許容できる時間を提示し、「ここまでの時間は残業してよいので、以降は会社の規定にも抵触するから、絶対に辞めて欲しい」と暗黙のルールを作って運営をしていたこともあります。

まとめ

とにもかくにも、今回このコラムでお伝えしたかったのは、特に海外で残業を良くないとしている風潮には、単にプライベートを充実して欲しい等といったものでなく(そもそも本当は皆様もご存知、外資系は成果に厳しい世界ですし)、長時間労働することが科学的にパフォーマンスを下げてしまうからといった理由もあるということ。

なんだかんだ言って、管理職もスタッフも共にダラダラと会社に残っていたい…という方がいるのも事実ですが、疲れ切っているのに無理やり作った提案書など、本当にお客様にとって良いものになっているでしょうか?

残業がなぜ良くないか。プライベートばかりにスポットが当てられがちですが、そうではなく本質の仕事で結果を出すために、労働時間は限定した方が効率的だという事実にも目を向けてみてははいかがでしょうか。

著者・編集者情報

藤江信之 (マーケティング室)

京都出身。

大学卒業後、税理士向け商社で営業マンを経験したのち、2000年代前半より広告代理店や、WEB制作会社等で主にクリエイターとして従事。
大手エネルギー会社や、大手小売店、某市地下鉄などのWEBサイトやプロジェクトに関わる傍ら、2010年頃まで、都内のWEBデザインスクールで非常勤の講師を務める。

その後クライアントワークから、自社の広報マーケティングにキャリアチェンジ。
上場IT企業のマーケティング部門立ち上げに中心メンバーとして関わり、ウェビナーや展示会の運営などを通じリード創出を行う。

人材サービス会社を経て、2023年6月ネクストソリューションズに入社。
“提案サイド”と“担当者サイド”両方を経験した知見を活かし、マーケティング室の立ち上げ中。

趣味は市民ランナー&高校野球観戦&古城跡散策のマニア。

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