2024.04.08

ITトレンド

改正障害者差別解消法が施行されたことについて

  • 障害者差別解消法
  • アクセシビリティ
  • WEBサイト

2024年4月1日に改正障害者差別解消法が「施行」されました。
これによって、3月31日までは各企業に求められた「努力」から「義務」へ変わり、一部罰則規定もあることから、
WEB制作会社などから「アクセシビリティ対策を急ぎべきです」といった営業もあるかと思います。

今回、冷静に改めてこの改正障害者差別解消法について解説していきたいと思います。

目次

改正障害者差別解消法とは

以前にも『WEBサイトご担当者様が知っておきたい「改正障害者差別解消法」』という記事を執筆しておりますので、ぜひそちらもご参照頂ければと思いますが、今回はさらにこの法律の本質がわかる、内閣府の「障害者差別解消法リーフレット」を参照したいと思います。

いくつか例が記載されています。

・障害を理由に店に入ることを断られた
・駅などで利用方法などを訪ねたところ、職員がわかるように説明してくれなかった
・住居や、スポーツジム、習い事教室などに入ることを拒絶された

ご覧いただいてお分かり頂けるように、この改正障害者差別解消法は別にWEBサイトの話をしているわけではなく、障害を持っているからといって、不当な扱いを受けてはいけないということを、各企業等に求めているものです。

WEBサイトはどうすればよいのか?

そして冒頭で触れた、改正障害者差別解消法が施行されるので、WEBサイトのアクセシビリティを急ぎましょう!という営業電話は、正しいものではあるのですが、問題はこの法律の本質を理解して営業・提案できているのかということ。

制作会社としては、きっかけは何でもよくて「WEBサイト制作の仕事が欲しい」のでその営業を行うわけですが、気を付けないといけないのは、本質を理解できていない制作会社(正直、相当多いと思っています)の言うがままに進めるのは危険ということです。

今回の法律は単に音声ブラウザに対応させましょうといったことではありません。

株式会社ミライロの「ミライロ通信」を参照させていただきますが、この音声ブラウザの対象になる方は、視覚に障がいがある方です。一方障がいと1口に言っても、聴覚に障がいのある方車椅子などが必要な方精神・知的障がいの方様々です。

そして企業が対応しなければならない方は、視覚障がいの方だけでなく、全ての障がいを持った方への対応となります。

音声ブラウザ対策が障がい者の方への配慮ではない

今もお伝えしたように、分かりやすい音声ブラウザ対策をすれば、障がいを持った方への配慮が完璧というわけではありません。

また「JIS X 8341-3:2016」も有名なガイドラインですが、これに準拠すればアクセシビリティ対策はひとまず「一定の基準」はクリアしたことになりますが、そもそもアクセシビリティって、障がいの有無にかかわらず、情報にアクセスしやすいか否かなので、障がいのある方への配慮の物差しには必ずしもならないということになります。

先に紹介した内閣府の「障害者差別解消法リーフレット」にもありますが、わかりやすく説明できているかや、そもそも根底に「ウチのWEBサイトは障がいの方向けの情報はないから関係ない」という気持ちがあるなら、法律上はセーフとはならないのではないでしょうか?

それに今回の改正障害者差別解消法によって、各企業にJIS X 8341-3:2016に準拠することはどこにも記されてもいません。

各企業に負担のかかる費用は求められていない

今回の法律は罰則規定もある厳しいものですが、しかし障がいのある方への配慮が出来ていないからといって、即座に罰金などが科せられるわけではなさそうです。

以前にも執筆していますが、自主的に改善が期待できない事業者に、その事業を管掌している大臣が、なぜ改善しないのか報告を求めるとあり、それに対し無視をする、または虚偽の報告を行った場合に罰金などの罰則が入るとされています。

「古いWEBサイトはリニューアルが必要なのか?」でも触れましたが費用負担や、財務状況は考慮し、事業者に過重な負担が存在しないことを前提としています。
ですので、即座にWEBサイト1つとっても、リニューアル等を求められてはいないということは押さえおきたいところ。

そうは言っても、企業側はリスクとしてSNSで発信力のある方に「この企業は障がい者に差別的である」と言われた際、事実の有無にかかわらず、それによってブランドに傷がつくなどの可能性があることは事実でしょう。

各企業が改正障害者差別解消法の本質を知ることが大事

私はこの法律対策の重要なことは、過重な負担が存在しないことを前提してはいるものの、例えば従業員規模も小さい小規模事業者であれば免状される。

などの免除規定は全くないということ。つまり社会的影響の強い大企業や、公共団体だけが対応するような問題ではないということで、少なくとも「ウチは小さい企業だから関係ない」という考えは持たずに当事者意識は持っておく必要があると思います。

そしてWEBサイト1つをとれば、少なくともアクセシビリティとは何か程度の知識は、各企業のWEBサイトのご担当者様。中小企業であれば経営者の方も持っておく必要はあると思います。

まずは今回の法律の本質、そしてアクセシビリティとは何か。簡単に解説したウェビナーもあるので良ければ参考までにご視聴くださいませ。

著者・編集者情報

藤江信之 (マーケティング室)

京都出身。

大学卒業後、税理士向け商社で営業マンを経験したのち、2000年代前半より広告代理店や、WEB制作会社等で主にクリエイターとして従事。
大手エネルギー会社や、大手小売店、某市地下鉄などのWEBサイトやプロジェクトに関わる傍ら、2010年頃まで、都内のWEBデザインスクールで非常勤の講師を務める。

その後クライアントワークから、自社の広報マーケティングにキャリアチェンジ。
上場IT企業のマーケティング部門立ち上げに中心メンバーとして関わり、ウェビナーや展示会の運営などを通じリード創出を行う。

人材サービス会社を経て、2023年6月ネクストソリューションズに入社。
“提案サイド”と“担当者サイド”両方を経験した知見を活かし、マーケティング室の立ち上げ中。

趣味は市民ランナー&高校野球観戦&古城跡散策のマニア。

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