2023.07.31

ビジネス

共有すべきは「成功談?」それとも「失敗談?」

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学生時代から「受験の成功談」などのコンテンツを見かけますよね。

わたしは「〇〇をやって合格した!」などの類。
社会人になってもありませんか?

わたしは「〇〇をやって受注した」などの成功談。
今回はこの成功談と、真逆にある失敗談どちらの方が共有すべきかを考察したいと思います。

目次

大切なことは再現性の有無

成功談も失敗談もまずカギになるのは「再現性」です。

例えばバブル期に活躍された当時のトップセールスマンの方が、当時と同じ手法で今も同じ成果が生まれるでしょうか?
私はバブル崩壊後の世代になりますが、初めて就職した会社では飛び込み営業などを行う、いわゆる「ザ営業会社」。限定された業界の商社で、メーカー様の新人営業勉強会等に参加する機会がありました。
その中で今も印象に残っているのは、ある超有名メーカー様の営業部長クラスの方がこのように仰いました。

「飛び込み営業は受付突破がカギ!受付の方が出てきて『担当者に確認してきます』と中に入れば、後ろを勝手についていきなさい。怒られたら謝ればよいだけ!」といったもの(汗)

ちなみに私の直属の上司も同じようなことを話していました。今ではコンプライアンス上の問題がありそうですよね。

自分自身の成功談を語る上で大切なのは、時代に左右されない「再現性」があるかないかが大切です。

成功談で大切なのは精神論でなく、データに基づくもの

先の「勝手にオフィスに入れ」も似ているのですが「自分はこれだけ苦労した、だからみんなも苦労すべきだ」的な根性論ありきの成功談は、話し手は気持ちよいでしょうが、これだと再現性に欠けてしまいます。

大切なのは、仮に「勝手にオフィスに突入」を良しとしたとして「その結果成功した」ではなく、「勝手に突入」するために必要な条件は「その場で受付が断らない」ことが第一条件のはずなので、「一旦中に戻ってくれる受付担当」は飛び込みの中で何割なのか。
そして「勝手に入って」すべてが「誠意あるね」という評価にはならないはずです。勝手に入って、会いたかった担当者とアポを取ったのは何割か。

このデータが大切です。であれば、この営業手法を「正」とした場合、シンプルに何件飛び込みをすれば、何件「勝手にオフィスに突入して」担当者に会えるというデータが生まれるはずなので、再現性が生まれますし、また成功体験談ではあるものの、それは「たまたま」すぎて、二度と再現させることが難しいようなものであれば、その手法は辞めようという判断になるはずです。

再現性が高いものは失敗談

成功談が話し手にとって「気持ちが良い」ものであることは間違いありません。
ただ例えば営業の方であれば、理屈ではなく「Aさんだと何故か非礼なことも許される」など属人化された「スキル」に頼った成功談。例えば先の「勝手にオフィスに入った」営業部長様の体験談だって、その方が持つ人間性や当時の年齢など、様々な条件下のもと「許された」だけで、他の方が真似したら警察沙汰になってしまうことだってありますよね?

だから成功談って案外、再現性が難しいものがあります。スポーツだって同じですよね?同じ練習メニュー、量だったとしても元々の身体能力の違いで出る結果は変わりますよね。

むしろ失敗談の方が再現性は高いはずです。

「失注したパターン」を「精神論」で分析するのではなく、淡々とデータに置き換えれば、共通点が見えてくるはずです。
先のスポーツの事例でも例えば「ケガをした選手」がどんな練習メニューを、どんな量で行っていたかを分析すれば「ケガにつながりやすい練習の特徴」が見えてくるはずです。

データはマーケティングに活用できる

「営業が頑張ったから受注できた」は私も元バリバリの体育会系営業マンなので、気持ちは理解します。ですがこの「頑張れば何でもできる」って、現場の営業担当者はその意気込みが大切ですが、指揮を出す方までこれではいかがでしょうか?

例えば100件のテレアポを行えば、大体10件担当者につながり、そのうち3件がアポになる。
アポの何割が商談になって、商談の何割が受注できる

とデータ化が出来ていれば、成功していない。ここでは受注に苦しむ営業マンに対し、何を具体的に改善、どこを頑張れば良いか具体的な指示出しもできますよね?

「勝手にオフィスに飛び込む度胸があったから自分は成功した」のではなく、おおよそそのような方…良く言えば鋼のメンタルをお持ちの方、悪く言えば空気の読めない方で、1日の飛び込み件数はとんでもない数を回っておられたと思います。伝えるべきは「最低〇件飛び込みをすれば〇件担当者に会える」「〇業界は月末は門前払いされるけど、月中は会える率が高い」などこういったデータがあれば、どこに営業マンを飛び込みさせるのが効率が良いなど、戦略が立てやすくなりますし、結果が出ないにしても改善点を具体的に示せますよね。

失敗事例を振り返るのって、かなり勇気のいる作業ですが「生きたマーケティングデータ」を組織に共有するためにも、ぜひ「成功談」だけでなく「失敗談」も話してみませんか?

著者・編集者情報

藤江信之 (マーケティング室)

京都出身。

大学卒業後、税理士向け商社で営業マンを経験したのち、2000年代前半より広告代理店や、WEB制作会社等で主にクリエイターとして従事。
大手エネルギー会社や、大手小売店、某市地下鉄などのWEBサイトやプロジェクトに関わる傍ら、2010年頃まで、都内のWEBデザインスクールで非常勤の講師を務める。

その後クライアントワークから、自社の広報マーケティングにキャリアチェンジ。
上場IT企業のマーケティング部門立ち上げに中心メンバーとして関わり、ウェビナーや展示会の運営などを通じリード創出を行う。

人材サービス会社を経て、2023年6月ネクストソリューションズに入社。
“提案サイド”と“担当者サイド”両方を経験した知見を活かし、マーケティング室の立ち上げ中。

趣味は市民ランナー&高校野球観戦&古城跡散策のマニア。

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