2023.10.13

ITトレンド

著作権について正しく理解できていますか?

  • 著作権
  • デザイン
  • WEBサイト

「著作権」。特に広報・マーケティング部門の方はよく聞く言葉だと思います。
しかし、意外と知っていそうで知らない。

それが著作権ではないでしょうか?
テレビニュースなどでは刑事罰などセンセーショナルな内容ばかりが強調され、なんとなくのイメージで「怖い」「自分たちとは遠い世界のもの」と思われているかもしれません。

ですが本来、著作権とは難しくないものなので、長くクリエイターとして従事してきた立場、経験から今回は著作権について解説します。

目次

著作権はプロクリエイターだけの権利ではない

著作権絡みのニュースでは、映画などの海賊版などで出版社などから多額の賠償金を求められた等、このようなビッグニュースのイメージが強いかもしれません。

どうしてもニュースになるのは、このようなセンセーショナルなものばかりなので、著作権というのがどこか遠い。また中には「著作権という権利を行使すれば莫大な金銭を得られる」と邪なことを思っている方も、中にはいらっしゃるかもしれません。

著作権とは、そもそもその名の通り「著作物に対する権利」のことで、かなり身近なものだったりします。かく言う私も実は20年近く前、当時所属していた会社のお客様が、著作物を無断使用されていることが発覚したのですが、当初「自分はお客様だ!」と居直られ、少しトラブルになったこともあります(その件は、お客様も非を認められたので円満に解決しました)。

ここで大事なのは何を著作物というのか、その定義です。これは著作権法で明確に定義されています。次のものは公益社団法人著作権情報センターから参照させて頂きます。

思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。

特にポイントになるのは「創作的に表現したもの」です。ですから、なんでもかんでもX(旧Twitter)などでも「著作権違反された!」と書いておられる方もいますが、中にはそもそも著作物でもなんでもないケースがあります。

次に、どのようなものが「著作物」とみなされ、「著作物」とみなされないものをご紹介したいと思います。

著作物とみなされるもの

まず大前提として、それがオリジナルである必要があります。その上で主に次のようなものは著作物とみなされます。
そして前提として、プロ、素人(敢えて、皆様に理解していただきやすいように、アマチュアという表現でなく素人とさせて頂きます)は問いません。
これも先同様、公益社団法人著作権情報センターから参照させて頂きます。

ここで皆様も普段から「著作権者」になる可能性が高いのは写真でしょうか。
これがよくSNSでは話題に上りますよね。ただし人物を撮っている場合、そもそも相手に肖像権の確認を撮っているのか?

私は高校野球が好きで、よく地方大会に観戦にいきますが、その都道府県の高野連WEBサイトに「許可なく写真をSNSで公開しないでください」と主催者が禁じているにも関わらず、「みんなもやっているから」と公開している場面も少なくありません。

こういった場合、写真そのものの権利は保有していても、異なる権利で逆に抗議されることもあるので注意が必要です。

言語の著作物 論文、小説、脚本、詩歌、俳句、講演など
音楽の著作物 楽曲及び楽曲を伴う歌詞
舞踊、無言劇の著作物 日本舞踊、バレエ、ダンスなどの舞踊やパントマイムの振り付け
美術の著作物 絵画、版画、彫刻、漫画、書、舞台装置など(美術工芸品も含む)
建築の著作物 芸術的な建造物(設計図は図形の著作物)
地図、図形の著作物 地図と学術的な図面、図表、模型など
映画の著作物 劇場用映画、テレビドラマ、ネット配信動画、アニメ、ビデオソフト、ゲームソフト、コマーシャルフィルムなど
写真の著作物 写真、グラビアなど
プログラムの著作物 コンピュータ・プログラム

著作物と認められないもの

主に次のようなものは、著作物とは認められません。こちらも公益社団法人著作権情報センターから参照させて頂きます。

  • 動物が書いた絵(著作権は人間を対象にしている)
  • 他人の著作物の模倣、コピー品
  • 誰が表現しても同じようになってしまうような「ありふれた表現」
  • 作品としてアウトプットされていない「作り方(技法)」
  • 歴史的な事実や単なるデータ

写真が著作物だとお伝えしましたが、正直最近のSNSにアップされているものって、誰かがバズらせたものを、模倣しているだけのものも少なくないですよね?
一応、オマージュしたものや、パロディなど、元ネタはあるにせよ、明らかにオリジナル作品として世にでている作品は少なくありませんが、これらは著作物として認められていますが、単にSNSで流行っているものを、自分も真似しただけのもの、つまりコピー物は著作物と認められない可能性があります。

そしてプログラムですが、例えばHTMLは著作物とは認められません。なぜなら基本概念が言語ですし、そして誰が記述しても「同じようになってしまう」ものなので、よほどに独創性の高い「アート」と呼べるものでないと、著作権とは認められないでしょう。

そして歴史事象や単なるデータについても同様です。歴史を扱ったドラマや小説は著作物ですが、その中で描かれている。例えば織田信長の生涯そのものは誰の権利でもありません。
現代物でも同様です。データとしてまとめたレポートなど、アウトプットされた作品は著作物になる可能性はありますが、元データは誰の権限でもありません。

私もあまりデータ化されていない、マニアックな野球大会のデータをまとめたことはありますが、そのブログなどの記事自体は著作物でも、データは私のものではありませんので、他の方がデータだけを別の形でブログ等にまとめまれることは何の違反にもなっていません。

引用についての認識違い

基本、引用をすることは違反ではありませんが、気を付けることは「全体の南割以下ならOK」といった具体的な物差しがないことです。
結局つまるところ、「引用するのは自由だけど、その結果アウトプットされるコラムなどは、オリジナル性がある」こととなると思います。

以前私が個人で作っていたある情報サイトが、ある方にほぼ丸々コピペされていたことを、偶然見つけたことがあります。
次の項目への伏線ですが、私は特にそのサイト管理人に抗議もせず、自分で言うのは照れ臭いですが、ある程度有名なサイトでもあったので「有名税」と思って放置しました。

著作権の基本はリアルな物品と同様、持ち主に確認が基本

著作権はデジタルなどであっても、「人の物」です。これは私が昔デザインスクールで講師をさせて頂いてた頃、よく授業でこの例え話をさせて頂きました。

「持ち主が不在の時に、勝手に人のノートを使ったら怒られますよね?著作権も全く同じ。金銭の話ではなく、相手に借りて良いかダメかきちんと確認しましょう」という1点です。

素敵な写真があった、同じことをしたい。自分もSNSで注目されたい。そう思うことは何の問題もないのです。
その元ネタの方にDM等で「私も同じことをして、SNSに公開して良いですか?」と確認すれば、ほとんどのケースで大事になることは避けられます。

私も出版社、テレビ局などから個人のWEBサイトの内容を引用して良いか、連絡を頂いたことがあります。全てあくまで趣味のサイトなので、それでマネタイズするつもりはないですし、快諾と可能であればサイト名をクレジット表記入れて欲しいと要望した程度です。
そこで明確にお金が発生するというのであれば、相手と交渉すればよいだけです。

著作権に違反した場合

著作権に違反した場合、民事と刑事でそれぞれ罰則を受ける可能性があります。よくニュースに出る海賊版での多額の賠償金は民事の方ですよね。
刑事罰として以下のものがあります。

こちらも公益社団法人著作権情報センターから参照させて頂きます。

  • 著作権、出版権、著作隣接権の侵害は、10年以下の懲役又は1000万円以下の罰金
  • 作者人格権、実演家人格権の侵害などは、5年以下の懲役又は500万円以下の罰金
  • 企業などの法人による侵害の場合(著作者人格権侵害、実演家人格権侵害を除く)は、3億円以下の罰金

一番良くないのは「みんなやっている」「〇〇さんもやっているから」という安直な考え。

これもたとえ話ですが、私は以前所属していた会社であるチームの責任者でした。コロナの時期で基本リモートワークでしたので、チームメンバー全員そろって出社する日もありましたが、用があればバラバラに出社することもありました。

その時、私はチームメンバーには「交通費など申請でハンコ必要な場合、ここにシャチハタ置いておくので勝手に使ってね」と伝えていました。
なので、そのメンバーが申請で使っても、当たり前ですが怒ることはありませんが、それを見た別のチームメンバーが、私のチームメンバーにも確認をせず、勝手に私のシャチハタを使えばどうでしょうか?

「だって〇〇さんは勝手に使っているのだから、私だけ怒られるのはおかしい!」等という理屈は通るわけありませんよね?
著作権も同様です。信頼関係がある人には「勝手に使ってどうぞ」と言うことも、著作権を持っているサイドとしてはOKな訳です。

ナゾの勝手な判断を発動させずに、「他人のものを勝手に使ってはダメ」という至極当然の原点にたてば、著作権違反はほぼ防げるはずです。
著作者、つまりクリエイターや作家などが正当に活動できるための権利が著作権です。

正しく理解して、勝手なマイルールを適用せずに、正しく対応するようにしましょう。
もし不明なことなどあれば、お気軽に個別相談などもご活用ください。

著者・編集者情報

藤江信之 (マーケティング室)

京都出身。

大学卒業後、税理士向け商社で営業マンを経験したのち、2000年代前半より広告代理店や、WEB制作会社等で主にクリエイターとして従事。
大手エネルギー会社や、大手小売店、某市地下鉄などのWEBサイトやプロジェクトに関わる傍ら、2010年頃まで、都内のWEBデザインスクールで非常勤の講師を務める。

その後クライアントワークから、自社の広報マーケティングにキャリアチェンジ。
上場IT企業のマーケティング部門立ち上げに中心メンバーとして関わり、ウェビナーや展示会の運営などを通じリード創出を行う。

人材サービス会社を経て、2023年6月ネクストソリューションズに入社。
“提案サイド”と“担当者サイド”両方を経験した知見を活かし、マーケティング室の立ち上げ中。

趣味は市民ランナー&高校野球観戦&古城跡散策のマニア。

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