2023.08.17

人事・採用

中小企業が取り組むべき「アルムナイ・ネットワーク」とは

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終身雇用が当たり前だった時代はとうに過ぎ去り、今では転職経験があることは当たり前になりました。

未だに「転職回数は少ない方が良い」など、「転職」についてネガティブな印象も残ってはいますが、社会を構成する世代も、バブル崩壊後の「団塊ジュニア世代」「ミレニアル世代」「Z世代」と新しい価値観を持つ方が大多数を占める中、「転職」についてのネガティブな印象は徐々に消えていくでしょう。

企業にとって、転職していった「OB・OG」とこれからは良好な関係を保っていくことも重要になります。
今回はアルムナイ・ネットワークという概念について解説していきたいと思います。

目次

アルムナイとは

こちらのコラムでも触れさせていただきましたが、改めておさらいをしたいと思います。
アルムナイとは卒業生という意味になります。

学校も個人的なつながりだけでなく、特に有名大学等ではOB・OG会などがしっかりとしており、例えばスポーツ大会などでも大応援団が集合しますよね。
いつまでも「〇〇大学出身」にプライド、愛着を持っています。

これを企業にもあてはめていこうという概念が、アルムナイ・ネットワークになっていきます。
企業を「退職」つまり「卒業」した後も、その会社に在籍したことを誇りに思い、いつまでも愛着を持って接していける状態を作ろうという考え方です。

なぜ今アルムナイ・ネットワークが重要なのか

当コラムで「終身雇用制」の是非は触れないでおきます。

上記は株式会社マイナビ様の「転職動向調査 2023年版(2022年実績)」を参照させていただいていますが、いわゆるコロナで「転職控え」が起きた2020年を除くと、転職市場が活発化していっているのが分かります。

かくいう私自身、2023年にネクストソリューションズに転職してきたばかりです。

終身雇用が良いか、転職は良くないことかの是非は置いておき、事実転職市場が活発化しているということ。
先の調査データによれば、社会経験も豊富になってくる30代、40代だと3回以上の転職経験者も決して少なくないとう事実があります。

人材の流動が当たり前な時代だからこそ、企業は「出て行った人」に「冷たく接する」のではなく、良好な関係を持ち続けることが、労働人口が少なくなっていく中、次に優秀な人材に集まっていただくという視点でとても重要になってきます。

アルムナイ・ネットワークの長所

アルムナイ・ネットワークの短所として、既存社員のモチベーション低下などを指摘される声もありますが、これはむしろアルムナイ・ネットワークがまだ機能しきっていない状態ではないでしょうか。

アルムナイ・ネットワークの長所として以下の3つを挙げさせていただきます。

  • 他社で成長した卒業生が戻ってきやすい
  • 新卒生、転職希望者に自社の良い情報を発信してくれる
  • 自社の取り組みに対し可能な範囲で協力してもらえる

他社で成長した卒業生が戻ってきやすい

下記図はエン・ジャパン株式会社様の「企業の出戻り(再雇用)」についてアンケート調査(2018年)です。

こちらを参考にしても、まだまだ一度退職をした方を、再雇用する制度を作っている企業様は少数派ですが、そもそも労働力人口が減少していく中、いつまでも「退職者は裏切り者」といった前時代的な考え方で接していくことは、自社にとって決してメリットがないことはそもそも明白ではないでしょうか。

制度の有無にかかわらず、良好な関係を保っていれば他社で学び、以前よりもスキルアップした「卒業生」を迎え入れられる可能性は高いですし、会社の文化も熟知している方なので「ミスマッチ」になる可能性も低く、お互いにとってWINWINの関係性が築けるのではないでしょうか?

例えば私ですが、ネクストソリューションズに入社以前、長く同業他社でマーケティングを担当していました。
その後、一度WEB業界を離れ人材サービス業界に転職しています。今、ここでこのように人事・採用関係のコラムを書けているのも、以前の私にはなかった新しい情報をインプットできたから。
私の場合、以前の会社への出戻りではなく、業界への出戻りですが一度その会社、業界を離れることは大いに価値があることだと身をもって感じています。

新卒生、転職希望者に自社の良い情報を発信してくれる

会社を出ていくということは、多少はネガティブな感情もあるのは事実でしょう。
それがいわゆる口コミサイトなどでネガティブな評価として視覚化されていきます。

会社の口コミサイトでのネガティブ評価対策」でも記載させていただきましたが、口コミサイトに「自作自演」を行うことは得策ではありません。

それよりもネガティブな感情より、その会社に在籍した「良かった思い出」が強ければむしろ、ネガティブな書き込みは自然と減るでしょうし、むしろ新卒生や転職希望者に「あそこはやめておけ」ではなく「ぜひ行くとよいよ、知り合いいるから一度声かけてみようか?」と自社にとって心強い応援団に変わってくれるはずです。

自社の取り組みに対し可能な範囲で協力してもらえる

独立された方であれば、優良なパートナー、または取引先として今後も関係性を築いていける可能性がありますし、他社に転職された方であれば可能な範囲となるでしょうが、自社に対して良い印象を持って退職されれば、出戻りなどはなくても様々な場面で自社の心強い応援団となってくるでしょう。

例えば先に新卒生や、転職希望者にポジティブな情報を伝えていただけるという話をしましたが、マーケティングの視点でも応援団になって頂けるかもしれません。

新しく転職した先が競合しない分野であれば、お客様を紹介いただけることもあるでしょうし、競合他社であっても良好なパートナー関係を築ける可能性があるのではないでしょうか。

中小企業こそアルムナイ・ネットワークに取り組むべき理由

全中小企業に該当するわけではありませんし、そもそも「中小企業」といってもその範囲は広範囲です。
上場している規模もあれば、非上場の中小企業でも、上場企業以上の従業員数など大きな規模の企業は少なくありません。

一方で人手不足や、いわゆる不人気とされる企業や仕事が中小企業に集中するのも事実。毎年、新卒生の「人気企業ランキング」でもいわゆるネームバリューのある企業が上位を独占。
中小企業が積極的に選ばれていないのは事実。

だからこそ、中小企業こそ大企業より先んじて、アルムナイ・ネットワークなど新しい考え方を積極的に導入し、若い人材や、経験豊かな即戦力人材に「選ばれる」企業体質を作っていく必要があるのではないでしょうか?

特にこのアルムナイ・ネットワークは特に予算が必要な分野ではありません。予算をかけなくてもできることは多くあります。

中小企業が取り組めるアルムナイ・ネットワーク

難しいことをするのではなく、今の時代は転職することは当たり前の時代。バブル期の頃までのような「一つの会社で人生を過ごす」時代ではなくなってきています。
転職していく方を快く送り出すことや、課外イベントなどがあるのであれば声をかける関係性。

「ウチの会社は良い会社ですよ」と自社の採用担当者が語っても、人間には心理学の「ウィンザー効果」というものがあり、当事者のメッセージよりも第三者的な意見を信頼するという心理が働きます。
転職していった方を「突き放す」のではなく、良好な関係を保ち自社にとって心強い応援団になって頂けるような取り組みをしてみませんか?

著者・編集者情報

藤江信之 (マーケティング室)

京都出身。

大学卒業後、税理士向け商社で営業マンを経験したのち、2000年代前半より広告代理店や、WEB制作会社等で主にクリエイターとして従事。
大手エネルギー会社や、大手小売店、某市地下鉄などのWEBサイトやプロジェクトに関わる傍ら、2010年頃まで、都内のWEBデザインスクールで非常勤の講師を務める。

その後クライアントワークから、自社の広報マーケティングにキャリアチェンジ。
上場IT企業のマーケティング部門立ち上げに中心メンバーとして関わり、ウェビナーや展示会の運営などを通じリード創出を行う。

人材サービス会社を経て、2023年6月ネクストソリューションズに入社。
“提案サイド”と“担当者サイド”両方を経験した知見を活かし、マーケティング室の立ち上げ中。

趣味は市民ランナー&高校野球観戦&古城跡散策のマニア。

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