2023.07.11

ITトレンド

こっそり教えちゃいます!今さら聞けない本当の「DX」とは

  • DX

ビジネスシーンが新型コロナで大きくオンラインにシフトしていったことで、より注目を集めた「DX」。

皆様も「DX」という名前は知っているという方が多数ではないかと思います。
一方で「〇〇のDX」などとセールスのためのキャッチコピー化している現状も多く見受けられ、本来の意味で「DX」を語っている情報が限られている感じがしていますので、今回は「DX」に焦点を当ててお話をしていきたいと思います。

目次

DXとは

そもそもDXですが「Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)」の略語です。
「DT」とならず「DX」となるのは、英語圏ではトランスに交差するという意味があり、それを表すのに「X」が用いられることから「DX」と省略されます。

DXの歴史

実はDXの歴史は古く、2004年にスウェーデン・ウメオ大学のエリック・ストルターマン教授が提唱したとされます。

2004年と言えば、平成16年。アテネオリンピックが開催された年で、男子水泳のスター選手・北島康介選手が「ちょー気持ちいい!」と試合後の会見で残した言葉が話題になったり、また同大会で日本男子体操が28年ぶりに金メダルに輝く際、「栄光の架け橋だー!」など名実況の生まれた年。
社会人世代の多くの方は懐かしい方も多いと思います。

IT分野だと日本に初めてiPhoneが上陸したのは2008年なので、その4年前。なので当時はまだ「ガラケー」をみなさんも使っていた時代ですね。
また「WEB2.0」とう概念が広がり、様々なサービスで「〇〇2.0」などと言ったキャッチコピーが誕生しました。

まだまだWEBサイトも前時代的な時代から「DX」という概念は存在していました。

こちらはGoogleトレンドで「デジタルトランスフォーメーション」が検索された数を2004年当時から現在までを調べたグラフになります。

ご覧いただくと分かる通り日本で脚光を浴び始めたのは、2018年前後。
経済産業省が「2025年の崖」と言った言葉を含んだレポートを出し、そこから注目を集めだしていきました。
また新型コロナの感染が拡大する中、リモートワークやWEBマーケティングなど様々なオンライン施策が注目されるようになり、それらと連動するように「DX」への注目も過去最大級になっていたことがわかります。

IT化と混同されるDX

市場でも一気に「バズった」キーワードのため、本来の意味で「DX」が使用されず「ITツールを導入すること」にように「IT化」と混同されがちなのが実情だと思います。DXとは本来どういった意味なのか?
の前に、よく使われているDXは以下の異なる2つの概念だったりすることも多いので、まずは先にIT化からご説明をしていきます。

  • デジタイゼーション
  • デジタライゼーション

デジタイゼーション(Digitization)とは

特定業務のデジタル化と解釈されます。例えば皆様も直近で経験されたことが多いものをあげると、これまでは新規のお客様先に「リアルに訪問」して名刺交換などを行い、紙の会社案内などを持参されていたのではないでしょうか?

ところが新型コロナの感染に伴い、zoomなどを用いたオンラインでお打ち合わせをすることが日常になりました。

営業の方だと、そろそろ訪問して…を望まれていると思いますが、私も実際「提案を受ける」側なので「オンラインでお願いします」と回答することが多いのが実態。
紙でカタログを頂いてもそれを社内共有するのが難しいですし、PDFの方がありがたいのが実情(汗)
あと時間通りにお打ち合わせを終わらせやすいといったニーズもあるので、このコラムを読んで頂いている「提案を受ける側」のお仕事をされている方は大きく頷いて頂けるのではないでしょうか(汗)

他にもセミナーはリアルから、ウェビナー(オンラインセミナー)が当たり前になりましたよね。
リアルだとどうしても参加しずらいものが、手軽に参加できるため企業側も、リード獲得手段としてウェビナーを主催される会社様が増えていると思います。

ウェビナーについては下記記事で、運営の仕方などを解説していますのでご関心ある方はぜひチェックしてみてください。

このように「ITツールを導入し、特定業務をデジタル化した」ことをデジタイゼーションと呼びます。
実際多くの場面でこれに近しいことを「DX」と呼んでいるケースも少なくないのではないでしょうか?

デジタライゼーション(Digitalization)とは

こちらは業務フロー、プロセスをデジタル化することをデジラタイゼーションと呼びます。

さきほどの例でデジラタイゼーションを考えてみたいと思います。
まずzoomを導入し、オンライン商談を行うことは「デジタイゼーション」です。ここにSFA(セールス・フォース・オートメーション)を導入し、営業活動の成功例、失敗例を共有。経験の浅い営業マンの方でも結果を出せる「再現性」を構築できるまでが完成すると「デジラタイゼーション」と呼べます。

あれ?

と思われた方も多いかもしれません。そうです。これに近しいことを「営業のDX化」等と呼ばれていますが、あくまで言葉の定義上ではこれらは「DX」と呼ばず「デジラタイゼーション」なのです。

ウェビナーも同様ですね。MA(マーケティング・オートメーション)を導入し、リードの見えるかを行い、効率のよくリード獲得が行えるウェビナーの企画を考えたりすることは「デジラタイゼーション」です。

本来のDXとは

ではいよいよ本題、本来のDXについてお話をしていきます。

まずトランスフォーメーション。これは「変形、変質」などの意味です。
例えば「イモムシ」だった幼虫が、「カブトムシ」に変わる。ここまでの大きな変質、変革と言える動きをトランスフォーメーションと呼びます。

イメージしやすいように例えれば、日本の歴史で話すと、暴れん坊将軍などで人気の徳川吉宗が行った「享保の改革」等は、これは徳川幕府という制度は存続したまま、今風に言えば「構造改革」を行ったわけですので「トランスフォーメーション」とまでは呼べないのではないでしょうか。

ここに坂本龍馬などが登場し「明治維新」を行ったわけですが、これは徳川政権自体が変わり、さらに武士を中心とした制度そのものが変わったわけですから、これは「トランスフォーメーション」と呼べるのではないでしょうか。

少しオーバーな事例でお話しましたが、まずトランスフォーメーションとはそこまで大きな変革だということ。
営業の一部をデジタル化しよう、管理部門にITツールを導入して働き方改革を進めようでは、DXと呼ぶには少しインパクトも足りません。

企業のDX事例

では実際の企業で成功したといわれるDX事例をいくつかご紹介します。

  • Netflix
  • Amazon
  • SREホールディングス

Netflix

ご存じの方多数と思いますが、オンラインでコンテンツを配信するアメリカの企業。こちらは元々オンラインでのDVDレンタル会社でした。そこからストリーミング配信(ストリーミングについての技術的な話は今回は割愛します)サービスに変え、その技術を転換し、既存作品だけでなく自社でオリジナル作品も制作するようになり、今のようにデジタルコンテンツの制作・配信会社になりました。

創業時とは大きく変革。まさにわかりやすい「DX」の成功事例ではないでしょうか。

Amazon

今ではGAFAM(Google、Amazon、Facebook、Apple、Microsoft)として、世界規模のプラットフォーム企業として認知されているAmazonも、もとはオンライン書店。

実は私は2000年代初期、日本のあるカタログ通販会社のECサイトの事業部で、見習いデザイナーとしてWEB業界での「歴史」をスタートさせました。
当時はまだAmazonや楽天よりも、カタログ通販会社が強かった時代でした。

ところが今ではECと言えば日本国内だと、Amazonと楽天というほどに巨大な存在になりましたよね。
このプラットフォームを活用し、Amazonも「プライム・ビデオ」などオリジナルの番組制作を行うようになったり、AWS(Amazon Web Services)など様々なサービスを展開する会社となりました。

Amazonも「ECツール」を活用し、その事業内容を初期とは比較にならないほど大きく変革、成功させた会社と言えます。

SREホールディングス

3社目は日本の企業で、元はソニーグループの不動産会社でした。
オンラインでそのサービスを展開する中で、そのツールそのものを競合他社などに販売展開するようになり、今ではAI等も活用したクラウドサービスや、コンサルティング業務など事業内容を大幅に変革、成功した会社です。

WEBサイト関連で考えられるDXについて考察

ここまでご説明させて頂いてお分かりいただいたと思いますが、DXというのはITツールを導入することや、あるいは「〇〇部門のDX化」のように限定化されたものでなく、会社全体に影響を与えるような変革です。
例えば下記のようなWEBサイトに関連するDXまでの発展案を考えてみたいと思います。

  • WEBサイトの更新を自社で行えるようにCMSを導入
  • AIチャットボットを導入
  • WEB広告を活用

WEBサイトの更新を自社で行えるようにCMSを導入

WordPressなどオープンソースのものでも、商用と呼ばれるものでも「CMS」を導入することはDXではありません。
またいずれであっても「現場のリソース軽減につながった」もデジラタイゼーションの一種です。
ポイントはリソース軽減から、例えば広報マーケ部門が新規事業開発を兼務するようになり、新しいサービスを生み出し市場において自社が優位に立てるようになればDXと呼べるのではないでしょうか。

AIチャットボットを導入

ChatGPTで熱が高まっているAIチャットボット。実際には数年前から関連サービスは出回っていましたが、改めてWEBサイトに実装してみようか等とお考えのご担当者様も少なくないかもしれません。
こちらもAIチャットボットを実装しただけでは、デジラタイゼーションにも届かないデジタイゼーション止まりでしょう。
しかし特定部署の回答に特化した自社独自のチャットボットを、外部協力会社と協業で開発。そのチャットボットを他社に販売するような事業展開までできればDXと呼べるのではないでしょうか。

WEB広告を活用

DXの例でWEB広告が取り上げられているケースを見受けられますが、そもそもリスティング広告などはDXでもなんでもありません。
ですが広告を効果的に配信することにより、例えばコラムなどを書き溜めたメディア(WEBサイトのこと)へのアクセスが爆発的に増え、逆に広告枠を準備し他社のバナーを有償で掲載するなどのマネタイズ化ができるまでになれば、これもDXと呼べるのではないでしょうか。

DXは絶対やるべきなのか

根本的な疑問はこの一言に集約されているのではないでしょうか?

例えば個人の飲食店様が無理やりDXを行う必要はないと考えます。むしろカードや電子マネーでの決済システムがなく、そのため顧客を取りこぼしているのであればシステム導入だけを行い、あとは本業の料理に力を入れる方がより成功に近づくのではないでしょうか。

ただ飲食店であればこの数年、一気にUber Eatsなどが配達の中心にかわり、昔ながらの町中華の店員さんが自転車にのって出前…といった光景は少なくなりましたよね。
同じくこの数年、新型コロナで働き方が大きく変わったため、春先に都市の中心部で名刺を求める新入社員の営業マンは激減しました。
変わってフォーム営業など「飛び込み」を行うにしてもリアルからオンラインに移行したことで、働き方、工夫の仕方は大きく変化しました。

このように様々な要因で「安泰と思っていた」ことが一瞬のうちに変わってしまうこともありうるので、DXとまでは言わずとも常にリスクヘッジを念頭におき、新しいビジネス創出を考えておくことは重要ではないかと考えます。

著者・編集者情報

藤江信之 (マーケティング室)

京都出身。

大学卒業後、税理士向け商社で営業マンを経験したのち、2000年代前半より広告代理店や、WEB制作会社等で主にクリエイターとして従事。
大手エネルギー会社や、大手小売店、某市地下鉄などのWEBサイトやプロジェクトに関わる傍ら、2010年頃まで、都内のWEBデザインスクールで非常勤の講師を務める。

その後クライアントワークから、自社の広報マーケティングにキャリアチェンジ。
上場IT企業のマーケティング部門立ち上げに中心メンバーとして関わり、ウェビナーや展示会の運営などを通じリード創出を行う。

人材サービス会社を経て、2023年6月ネクストソリューションズに入社。
“提案サイド”と“担当者サイド”両方を経験した知見を活かし、マーケティング室の立ち上げ中。

趣味は市民ランナー&高校野球観戦&古城跡散策のマニア。

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