2023.10.25

人事・採用

アルムナイ・ネットワークに参加してみた話

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労働力減少などから、大きく見直されつつある日本の人事採用制度。

とはいっても、まだまだ大手企業を中心とした「一部」の変化ではありますが、徐々に中小・中堅企業にもその流れが来ているようです。
私も先日、2005年頃まで在籍していた、あるWEB・IT企業の同窓会に参加。

何人かは退職後も会ったり、連絡をしていた時期もありましたが、それも気づけば10年以上前。
中には20年ぶり近くにお会いする方も。

といったところで、昨今よく言われる「アルムナイ・ネットワーク」について私自身参加してきて、感じることをコラムにしたいと思います。

目次

アルムナイ・ネットワークとは

詳しくは『中小企業が取り組むべき「アルムナイ・ネットワーク」とは』をご参照頂ければと思いますが、簡単に言えば、退職者と関係を断つのではなく、学校の同窓会のように、気軽な関係性を築いていこうというものです。

私が参加したアルムナイ・ネットワーク

WEB業界入りたて。年齢もまだまだ若かった頃にお世話になったWEB・IT企業(当時は非上場でしたが、今は大きく成長し東証プライムに上場しています)の同窓会でした。

本当に招待状のようなものが、会社から公式に届くというものでなく、私は一部の方とFacebookでは繋がっている(と、いってもフォローし合っているだけの関係性)ので、そこから「今度同窓会するので来ませんか?」という軽いノリのものでした。

ただ当時の「仲良しチーム」の「飲み会」という訳でもなく、私が退職後に入社し、そして退職された。つまり一度も私とは関わったこともない方も多数参加(合計で20~30名は参加されていたと思います)されていました。

私自身は当時一緒に仕事をしていた、当時の同僚達と主に時間を過ごし、その後に入ってこられた方は(一部知り合いもいるので、その方は除きますが)ほぼコミュニケーションを取る機会もなかったです。

アルムナイ・ネットワークは良いモノか?

結論として、良いモノだと思いました。

シンプルに20年ぶりにお会いする方もいましたし、特にこれからまた一緒に会おうとか、仕事をしようとか、そういう「仕事絡みの下心」もなく純粋に昔を懐かしめて楽しい時間を過ごせました。
一方でアルムナイ・ネットワークは人事目線だと、退職者のその企業への愛着心を繋ぎつつ、別に復職などありきでなく、例えば広義な意味での「アンバサダー」になって貰えるなどのプラスアルファの側面から検討をされると思うので、実際参加してみて、アルムナイ・ネットワークを上手く活用するために必要だなと思ったことを次に記したいと思います。

アルムナイ・ネットワークを行う上での注意点

勘違いしないでいただきたいのは、アルムナイ・ネットワークは別に「飲み会」のことを指すわけではない。ここだけはまず最初にお断りしておきます。
私はあくまで「飲み会」として参加しただけなので、その流れですが、色々な場面に置き換えて頂ければと思いますが、以下のことに注意が必要かと思いました。

  • 満遍なく在籍世代をまとめる
  • 退職後も近しい人と、完全に距離がある人のバランス調整
  • 復職など自社への利益を考えない

満遍なく在籍世代をまとめる

それなりに古い企業だと、退職者と一口にいっても、全く関与していない方もでてきます。私も実際参加してみて、20年近く前に退職した会社なので、参加者の多くは「知らない人」ばかり。少し最初は「浮き気味」に感じました。

私の場合、20年以上前、そこの会社でリーダーをさせて頂いていた時期もあったり、多少はその世代の方の中では「有名」でもあるので、気を使っても頂け、輪に入りやすいところもありましたが、ここは「飲み会」に限らず、アルムナイ・ネットワークを行っていく上で、退職者同士の人間関係を上手く調整していかないと、人事的目線での「自社への愛着を繋ぐ」は逆効果になるかもしれないと感じました(私も楽しく過ごしましたが、次はお誘い頂いてもまた10年後で良いかなと…笑)

退職後も近しい人と、完全に距離がある人のバランス調整

これも先ほどの「満遍なく在籍世代をまとめる」と近しいですね。余談ですが私は大学の社会学部を卒業しています。社会学では「2人」しかいない状況は「社会」ではなく、「3人」になって初めて「社会」が出来るという考え方です。

AさんとBさんしかいない場面では、そこに人間関係は1本しかありませんが、そこにCさん「1名」が増えただけですが、人間関係はAさんとCさん、BさんとCさん。さらには3人での関係性と一気に複雑化していくという考え方です。
アルムナイ・ネットワークも、退職後も密に連絡を取り合っているグループの方と、全く疎遠になっていたグループでは温度差が生まれるのはやむを得ませんが、目的が「単なる同窓会」であれば良いですが、アルムナイ・ネットワークまで発展させたいのであれば「ああ、なんか仲良しグループが出来ていて参加しずらいなぁ」と感じさせるのは、目的から考えると逆効果なので、上手くバランスを取ることが求められるのではないでしょうか?

復職など自社への利益を考えない

人事担当の方であれば、なにがしかすぐに結果を求めるかもしれません。ですがそれって営業の方がすぐに契約を求めてくることと大差はないのではないでしょうか?

退職者たちも復職や、あるいは仕事のつながりが欲しくて参加される方もいるでしょうが、私のようにシンプルに昔の仲間と懐かしい一時を過ごしたいだけ。という方も大半だと思います。
あくまでアルムナイ・ネットワークとは、自社に目に見える形で、すぐに、また直接的に利益を求めるものではなく、間接的な利益なども考えてみてはいかがでしょうか?

例えば退職した方とも、良好な関係性を残している会社だということを採用サイト等でPRすれば、今度新しくその会社を志望する方にとってもプラスの心理が働くのではないでしょうか?
またそのように、何年後かに再会する(仮にもう無かったとしても、久しぶりに昔の仲間と会えば)と思えば、口コミサイトでのネガティブな評価が減ることも期待できますよね。

退職者と対立関係を作ってしまうことに、本来なんのメリットもないはずですので、シンプルに良好な人間関係を緩く持続させることを目的に、皆様の会社でも一度チャレンジされてみてはいかがでしょうか?

参加したあとがき

あまり記憶にないですが、一緒に飲んでいたメンバーとは昔、大喧嘩をしたメンバーもいたそうです(笑)
相手の方がどう思っているかはさておき、私自身は久しぶりに20年前の「あだ名」で呼び合ったり、本当に懐かしい時間を過ごせ、一次会だけで帰る予定でしたが、二次会途中まで参加していました。

私もその会社を卒業した後、様々な会社でお世話にもなり、チームを任せて頂き、会社の公式なチャネルで色々登場させて頂いた時期もあります。
ですので、今さら20年以上前のメンバーと、その「中間」を取っ払って、再び「つるむ」つもりもないですし、仕事の話はほぼせず、連絡先の交換も全くせずに、ただ駅まで楽しく笑い合いながら、約束のない次回のお別れをして、再び「現在」に戻ってきました。

その会はアルムナイ・ネットワークを意識したものでなく、シンプルな同窓会なのですが、「これって、計画的に実施されていれば、アルムナイ・ネットワークだよなぁ」なんて頭をよぎり、このコラムを執筆しようと思いました。

私自身は、次、彼らと再び会うのは、来年か…はたまた次の10年後か…もう二度と会うことはないのか、それは分かりませんが、もう退職して何十年もたっていますが、どこかに「この会社に所属していたという帰属意識」のようなものを感じましたし、ゆるく繋がり合える絆というのは良いものだと思いました。

また別の会社からお誘いを頂ければ、積極的に参加してみたいと思いますので、ぜひ昔の同僚の方がこのコラムを読んでおられれば、お気軽にお声かけくださいませ(笑)。

著者・編集者情報

藤江信之 (マーケティング室)

京都出身。

大学卒業後、税理士向け商社で営業マンを経験したのち、2000年代前半より広告代理店や、WEB制作会社等で主にクリエイターとして従事。
大手エネルギー会社や、大手小売店、某市地下鉄などのWEBサイトやプロジェクトに関わる傍ら、2010年頃まで、都内のWEBデザインスクールで非常勤の講師を務める。

その後クライアントワークから、自社の広報マーケティングにキャリアチェンジ。
上場IT企業のマーケティング部門立ち上げに中心メンバーとして関わり、ウェビナーや展示会の運営などを通じリード創出を行う。

人材サービス会社を経て、2023年6月ネクストソリューションズに入社。
“提案サイド”と“担当者サイド”両方を経験した知見を活かし、マーケティング室の立ち上げ中。

趣味は市民ランナー&高校野球観戦&古城跡散策のマニア。

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