2024.04.03

ITトレンド

結局DXはどうなった?

  • DX

一時期DX、DXと騒がれ、「DX推進」なんてネーミングの部署を作った企業も少なくなかったはずですが、果たして現在どうなっているのか考察してみたいと思います。

目次

大企業は自己採点で10点中8点

株式会社グロースXの「大企業におけるDX推進の実態調査(2023年8月)」を参照させていただくと、大企業の多くでは、10点満点で8点までDXを推進できたと回答されています。

おさらい:そもそもDXって?

詳しくは当コラム『あるある…誤解されがちなDX』をご参照頂ければと思いますが、経済産業省はデジタル技術を活用して、製品やサービス、ビジネスモデルを変革。業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。と定義しています。

元は2004年にスウェーデン・ウメオ大学のエリック・ストルターマン教授が提唱した考え方です。

しかし実際それまで全く話題に上らなかった「DX」ですが、2018年に先の経済産業省が『DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~』を発表。ここから一気に日本でも話題になりました。

ではその2018年から今年2024年まで、一体どんなドラスティックな製品やサービス、変革が起きた企業があったでしょうか?

草の根DXなんて本来はあり得ない

「草の根DX」なんて言葉があります。

確かに今の日本社会で「ウケやすい」のは、トップダウンでなくボトムアップで、みんなで民主的にDXを進めましょう。というストーリー構成でしょう。それは理解しますが、本来DXって例えば「営業部をなくしてしまおう」等、相当なドラスティックな変化です。

草の根DXなんて、出来るわけがないのです。なぜならこのコラムを読んでおられる方の大多数は、「サラリーマン」でしょう。役員などの方であっても創業者やオーナーといった本当の意味での「この会社は自分のもの」と言える経営者の方は圧倒的に少ないでしょう。

つまり、役員の方も自身が管掌する部門が消えては困りますよね?だって、自身が役員でいれなくなる可能性がでてきますよね?そんな自身を窮地に追い込む。しかし、一段上のレイヤーから見れば確かにその部署は、もう時代遅れかもしれない…なら、部署を解体して、全く新しいものを導入しようなんてことを考えて、実行するにはボトムアップでは絶対に無理なんです。

そのDX、単なるオンライン化では?

最近は国会DXなんて言葉もあります。

先にも触れましたが、国会が国会でなくなるんですか?実際に議論しているのはオンラインツールを導入するだけの話ですよね?
国会の役割を変えるなんて、それこそ国民投票モノですよね?

実態はこのように、例えばリモートワークが円滑にできるようにシステムを導入した。あるいは流行りのAI絡みの商品を導入した。そのことを「わが社のDX」と呼んでいる気がしてなりません。

DXがそこまで進行しているなら、今この社会には全く新しいサービスが溢れかえっていて、市場が活気に満ちあふれているはずなんです。
ですがそんなことないですよね?

なぜDXを行う必要があるのか?

プロダクトライフサイクルについてコラムを投稿させて頂きましたが、その中でご紹介した「成熟期」に今、多くのサービスは突入しているのではと考えます。

例えばWEBサイト。もし皆様の会社の利益が倍になって、広告予算も倍になったとして、積極的にWEBサイトのリニューアルを行う会社って、どれぐらいあるでしょうか?もちろんこれは単なる想像の世界の話です。

ですが私は恐らく、各WEB制作会社が嬉しい悲鳴を上げるほどに、リニューアル依頼が殺到する未来は見えません。WEBサイト自体もすでに成熟期に入っていると思います。珍しくもなんともないWEBサイトに、増えた利益や広告予算を投入される会社は少数派だと思います。

これは皆様の会社のサービスも同様だと思います。もう今の社会で本当に「こんなの見たことも聞いたこともない!」なんて斬新でドラスティックな商品やサービスなんてほぼないのではないでしょうか?同じ様に、景気がよくなったところで、皆様の会社の商品やサービスに企業や個人が、殺到する未来は見えますか?

つまり小手先の手法で、現状維持を目論んだところで、せいぜい衰退期に移行するタイミングを遅らせることが出来るだけ。今の商品やサービスが再び成長期に「戻る」ことはないでしょう。

つまり、単なるITツールを導入するというものでなく、真の意味でのDXは日本社会というより、全世界的な視点で課題だと思います。

業種を変える、ゲームチェンジャーになることではない

ただし誤解なきようにというとで触れますが、なにもDXとはGAFAMのようなプラットフォーマーや、ゲームチェンジャーになろうという大それた話ではありません。また業種を変えようという話でもありません。

例えば小売店様や飲食店様が世の中から需要がなくなるなんてあり得ないでしょう。但し、その需要は少しづつ変化していくことは間違いないでしょう。
私もコロナ以降、一気に増えたテイクアウトが好きなので、今も続いているお店では引き続きテイクアウトをチョイスしています。

独自にECサイトなどを構築できなくても、Uber Eatsなど既存のプラットフォームを活用すれば、配達員を自店で雇うことのできない個人店でもテイクアウト事業を進めていくことも出来る時代です。

少しの工夫で既存ビジネスを軸にしてトランスフォーメーション(変革)を行うことは可能だと思います。もちろん、その時、なにもかも「今と同じ」ではないですし、組織内での「既得権益」とのハレーションもゼロではないでしょう。ただ、競合他社が先に動き出した時には、一気に今のある意味安定している「成熟期」は一気に「衰退期」へとフェーズが変わることも考えられます。

単なるITツールを導入するだけの「なんちゃってDX」でなく、本来のDXを再度検討してみる時期ではないかと考えます。

著者・編集者情報

藤江信之 (マーケティング室)

京都出身。

大学卒業後、税理士向け商社で営業マンを経験したのち、2000年代前半より広告代理店や、WEB制作会社等で主にクリエイターとして従事。
大手エネルギー会社や、大手小売店、某市地下鉄などのWEBサイトやプロジェクトに関わる傍ら、2010年頃まで、都内のWEBデザインスクールで非常勤の講師を務める。

その後クライアントワークから、自社の広報マーケティングにキャリアチェンジ。
上場IT企業のマーケティング部門立ち上げに中心メンバーとして関わり、ウェビナーや展示会の運営などを通じリード創出を行う。

人材サービス会社を経て、2023年6月ネクストソリューションズに入社。
“提案サイド”と“担当者サイド”両方を経験した知見を活かし、マーケティング室の立ち上げ中。

趣味は市民ランナー&高校野球観戦&古城跡散策のマニア。

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